大久保純子邸の春景色 その2  2020年3月24日撮影














 レンギョウと山桜

 わたしの庭で春を告げる樹木としたら、やはり一斉に黄色い花を咲かせるレンギョウ。それまで枯れ山水の寂しい庭の一角に前触れもなく可憐な黄色い花を咲かせたレンギョウを縁側から眺めると、ああ、春が来たんだなぁと感じる。レンギョウの花言葉は「豊かな希望」。みずみずしい命の輝きを見るようだ。これから次々と花を咲かせる草花の命をともにできると考えると胸がわくわくする。父が好きだったほかの樹木たちもみどりの葉が色づきはじめ若葉色に輝きだす。そうすると心がふわふわして明日への生きる勇気がもらえる。

 ここはもともと松林で50~60本あった。ところが松くい虫にやられて松の木の伐採を余儀なくされた。業者がやってきて松の木を切り倒して処分した。その時、父は離れの部屋に閉じこもり終わるまで出てこなかった。樹木を愛している父にとっては身を切られるような断腸の思いだったのだろう。自然が大好きだった父は母が部屋に飾った野花を見て「自然はすごい」とうなったことがあった。あれは父の晩年だったと思う。その心の裡は仏の心境に達した時期だったのだろうか。

 わたしの家にある桜の木はソメイヨシノ、彼岸桜。そして泰然とそびえている山桜が2本。幹回りが3m20㎝で樹齢と幹高不明。わたしがここへ住むようになって2倍ぐらいの大きさになったのではないか。子どものころは意識して樹木を見ることはなかったからはっきりしないが何となくそう思う。山桜はソメイヨシノのように満開が過ぎたころに葉がでるのではなく、開花と同時に赤茶けた若葉が出て白色の花びらとともに楚々とした美しさを見せてくれる。花持ちがよく一週間ぐらいは楽しめる。 

























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